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自営業の老後保障 老後資金をFPさんと考える

自営業の老後資金 介護保障と自分の親に介護が必要なとき ●

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自分の老後への保障

年齢を重ねると、老後や介護のことは他人ごとではすまされなくなります。公的年金制度では、老齢年金が65歳から支給されますが、現在の支給額は毎月65,000円程度。夫婦二人でも130,000円程度になります。この金額は手取りではなく、そこから住民税や健康保険料などが引かれるため、手元に残るのはあまり多くはありません。

老齢年金額は現在の水準での支給額計算になるため、10年後、20年後にはどうなっているかはわかりません。さらに将来インフレになった場合のことも考える必要があります。

また、元気で老後を迎えれば、働きながら生活することも可能ですが、認知症や寝たきりなど介護が必要になる場合も考えられます。すると、介護費用も別途必要になってきますよね。
介護保険については次の項5)で見ていきますので、ここでは自営業としてもらえる年金の概要と自営業が使える老後保障について見ていきます。

・老齢年金

老後生活を支えてくれる保障が、老齢年金という国の制度です。会社員と自営業では加入している年金制度が異なります。会社員は厚生年金保険に、自営業や専業主婦は国民年金保険に加入しています。公務員の場合、以前は共済年金保険に加入していましたが、2015年9月より厚生年金保険に一元化されました。

国民年金保険の保険料は年収に関わらず一律の保険料(16490円。平成29年度)になっています。それに対して厚生年金保険の保険料は、会社と従業員が折半で保険料を支払い、年収(実際には厚生年金保険の保険料を計算する標準報酬月額によります)によって保険料が異なります。

保険料も、支払い方も異なるこれらの保険料ですが、老齢年金として受け取る際も、もちろん金額は異なってきます。自営業の場合は、老齢基礎年金のみの受け取りとなり、1年間に約78万円(平成28年度)になります。会社員の場合は、加入期間や収入によって差がありますが、老齢基礎年金と老齢厚生年金あわせて150万円~250万円程度にもなります。

大企業に勤めていると、企業年金を受け取れる場合もあり、勤務している会社の規模や企業年金制度の有無によって受け取れる老齢年金の金額が変わってきます。

ここで問題になるのが、仕事を引退した後の生活費です。会社員との年金の差をどうやって埋めていくか、をできるだけ早く考えて対策を打っていかないといけません。自営業は年金制度の恩恵が少ない、と言われますが、実は国民年金以外にも老齢年金の不足を補う制度が存在するんです。

ⅰ)付加年金

国民年金保険の第1号被保険者(自営業やその妻など)が加入できる、老齢年金の上乗せ制度です。毎月400円の付加保険料を支払うと、65歳からの老齢基礎年金に、200円×付加保険料納付月数分の金額が上乗せして支給されます。

たとえば、35歳から付加保険料を支払い始めた場合、60歳までの納付月数は、
(60-35)×12=300月
になります。
それに200円をかけて、
200円×300月=60,000円
が、65歳からの老齢基礎年金に毎年上乗せして支払われます。
現在の老齢基礎年金額は約78万円なので、
78万円+6万円=84万円
が毎年支給されることになります。

たった400円を上乗せして支払うだけでこれだけのリターンがあるのはうれしいですね。

また、この付加年金の保険料は国民年金保険料と同じように、支払った保険料全額が所得控除の対象になり、税金の優遇が受けられることになります。

ⅱ)国民年金基金

自営業世帯の老齢基礎年金の不足分を補う制度です。会社員の老齢厚生年金の部分と同じようなシステムになっています。年齢、性別、将来の受け取り額のプランによって保険料は異なりますが、国民年金保険料に追加して支払うことで65歳からの年金受取額を増やすことができます。

35歳男性で、毎月10,530円の保険料を支払うと、65歳から毎月15,000円(年間で18万円)が老齢基礎年金に上乗せして支給されます。これは老齢基礎年金と同じで、一生涯続くので、長生きすればするほど元がとれるものになります。

また、国民年金基金の保険料は国民年金保険料や付加年金保険料と同じく、所得控除の対象になります。
国民年金基金は、付加年金と一緒に加入することはできないため、付加年金にするか、国民年金基金にするかは自分で考えて十分に納得してからにしましょう。

ⅲ)小規模企業共済

小規模企業共済とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済制度です。個人事業主や、一定規模以下の企業の役員が事業をやめたり退職したりしたときの退職金の積み立てとして活用できます。

掛け金は毎月1,000円~70,000円の範囲で設定でき、毎年の掛け金は全額所得控除の対象になります。個人で加入し、保険料を支払うため、法人の経費扱いにはできません。個人事業主や法人成りしている会社の役員などが加入できますが、医療法人や学校法人、NPO法人など営利を目的としない団体は加入できません。また、雇用している従業員の数に制限があるなど、加入できる法人にも条件があります。

また、病気やケガ、災害による被害などで事業収入が下がった場合や、一時的な売り上げの減少といった場合には、払い込んだ共済掛け金の範囲内で貸し付け受けることもできます。

付加年金や国民年金基金が、65歳からの受け取りになるのに対し、小規模企業共済は払い込み途中での解約や資金が必要になったときの融資にも対応ができるため、現在の事業に対する保障と老後の生活資金確保の両方に対応しています。

ⅳ)個人型確定拠出年金(iDeCo)

以前は自営業しか加入できなかった制度ですが、現在は、自営業、会社員、専業主婦など、加入している社会保険を問わずに加入できるようになった年金の上乗せ制度です。毎月一定額(加入者が決めることができます)を金融機関経由で運用し、60歳になれば一時金や年金形式で受け取ることができます。

掛け金は、自営業では月68,000円まで(付加年金や国民年金基金の保険料も合わせた額)、会社員では23,000円というように、職業によって毎月の掛け金限度額が異なります。加入時に設定した掛け金は一年に一度まで変更することができます。所定の障害状態になれば5年~20年の有期ではありますが、障害給付金が支払われるため、自営業の方にとっては、障害基礎年金の上乗せ保障にもなります。

支払った掛け金は全額所得控除の対象になるため、所得税や住民税が優遇されます。しかし、途中で掛け金を引き出すことはできないことや、60歳時に受け取れるお金が確定しておらず、金融機関による運用の成果によって決まってしまうため、運用に失敗した場合は加入者がリスクを負わないといけない、ということに注意をしないといけません。

また、運用に金融機関に支払う手数料がかかることや、確定拠出年金のための口座を開くのに口座管理料も発生してしまうことにも注意が必要です。運用益に応じて手数料率が変わるため、運用益が大きいほど手数料がたくさんとられてしまいます。

ⅵ)個人年金保険

個人年金保険とは、生命保険会社が取り扱っている商品の一つです。毎月一定金額の保険料を保険会社に支払い、満期がきたら一時金または年金形式でお金を受け取ることができます。保険料の積み立て利率は契約時に確定しているため、受け取れる年金額も契約時に確定します。保険料の払い込み期間や年金額も自由に設定できます。

契約者と被保険者が同一人物であることや、年金受取人が被保険者またはその配偶者であること、保険料払い込み期間が10年以上あること、年金支払い日に被保険者が60歳以上であることなどの条件を満たせば、生命保険料控除のひとつである個人年金保険料控除の対象となり、所得から一定額が控除され、所得税や住民税が優遇されます。ただ、支払った保険料全額が控除の対象になるわけではないため、年金や国民年金基金、中小企業共済、個人型確定拠出年金よりも控除のメリットは少なくなります。

とはいうものの、積立利率が確定しているため、60歳からの受け取り金額が契約時にわかることや、職業による掛け金の制限が厳しくないため、契約の自由度は比較的高いです。また、資金繰りが大変な時には、払い込んだ保険料の一定の範囲内で契約者貸付を受けられたり、払い済み保険に変更して保険料支払いを止めたりすることもできます。

参考:日本年金機構『国民年金保険の保険料』
http://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-02.html
参考:日本年金機構『付加年金』
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/1go-dokuji/20140625.html
参考:国民年金基金連合会『国民年金基金とは』
http://www.npfa.or.jp/system/about.html
参考:国民年金基金連合会『納付の種類』
http://www.npfa.or.jp/system/type_benefit.html
参考:中小企業基盤整備機構『小規模企業共済制度の紹介』
http://www.smrj.go.jp/skyosai/000876.html
参考:国民年金基金連合会『個人型確定拠出年金』
http://www.npfa.or.jp/401K/
参考:アフラック『個人年金保険料控除』
http://www.kojinnenkin-hoken.com/koujo.html

 

5介護保障

自営業の方でもいつかは仕事を辞める時がきます(もちろん、職業によっては、死ぬまで現役でおられる方もいらっしゃいます)。老後を迎えて誰かに身の回りの世話をしてもらわないといけなくなると、介護費用がかかってきます。現在では公的介護保険制度があるため、介護が必要な状態になっても介護の程度によって一定金額までの公的な介護サービスを少ない負担で受けることができます。

介護保険制度は、40歳以上の国民全員が介護保険料を支払う(天引きされている)ことで成り立っている制度です。しかし、2025年問題といわれるように、日本はこれから超高齢化社会に入っていきます。支える世代(現役世代)が減り、支えられる世代が増えていきます。すると、現役世代の負担が増すばかりか、支えられる世代への保障も減っていく可能性があります。

そこで必要なのが、自助努力です。介護状態にならないように体を鍛えたり食生活に気を付けたりするのは大前提として大切ですが、老後の生活資金や介護費用などを今からコツコツと準備しておくという努力も必要です。貯蓄以外にも投資での資産増加・生活防衛などを考えることも必要と言えるでしょう。

介護保険制度については、年金制度や健康保険制度と異なり、自営業でも会社員でも公的な保障の差はありません。とはいいつつ、これは余談ですが、介護する側に回ったとき、会社員と自営業では制度に差が出てきます。会社員では介護による休職をサポートする介護休暇制度がある(給与の保証がある)のに対し、自営業では保障されていません。介護される側になった場合だけでなく、介護する側になったときのことも、自営業の方は考えないといけないんです。

また、認知症への不安の高まりから、認知症になった場合に保険金が支払われる認知症保険も売り上げを伸ばしています。また、軽度の要介護状態でも給付金が支払われる介護保険も各社から発売されています。このような民間の介護保険に加入することで、介護が必要になったときの経済的な不安を少なくすることができます。ただ、ここで注意しておきたいのが、認知症や介護状態にならなければ保険金や給付金は支払われない、ということです。

また、民間の認知症保険や介護保険は、契約時の年齢が高いほど保険料が高くなります。それは、年齢とともに給付の対象(認知症や介護状態)になる確率が高くなるからなので当たり前の話ですが。注意しないといけないのは、同じような介護保障でも、保険会社によって給付要件が異なることです。

認知症と診断確定された段階で給付金を受け取れるのか、それとも、認知症になって一定の期間それが続いていれば給付金を受け取れるのか、似たような条件でも実際は全く異なります。認知症保険や介護保険に加入を検討する時は、給付金の支払い要件の厳しさや、毎月の保険料が無理のないものなのかどうかをしっかり確認するようにしましょう。

介護保険についても同じです。公的介護保険制度の要介護認定とリンクして保険金や給付金が支払われる商品もあれば、保険会社独自の給付要件を設定している商品もあります。

参考:公益財団法人 n生命保険文化センター『介護や支援が必要な人はどれくらい?』
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/1.html
参考:公益財団法人 生命保険文化センター『介護にはどれくらいの年数、費用がかかる?』
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/4.html
参考:公益財団法人 生命保険文化センター『実際にかかる介護費用はどれくらい?』
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/10.html
参考:公益財団法人 生命保険文化センター『民間の介護保険の仕組みについて知りたい』
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/12.html

 

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