クレジットカードの支払い方法としてリボ払いがあります。
テレビCMなどでもさかんにリボ払いが広告されているため、クレジットカードを利用する人にとっては支払方法としての認知度は非常に高くなりましたが、その実態について理解していない人も少なくありません。
リボ払いは毎月の支払いが楽になるという一方で、借金地獄になるという危険性も指摘されています。
実際に、カード破産に陥る多くの人がリボ払いによって支払い困難となっています。
毎月の負担が少なく気軽に高額な買い物ができるリボ払いですが、
そもそもリボ払いとはどういう仕組なのででしょうか?
目次
リボ払いとは?
リボ払いとは、リボルビング方式で支払いをすることです。
リボルビング方式とは支払回数ではなく、毎月一定のルールに基づいて決められた金額を完済になるまで延々と払い続けていく支払方式です。
また、リボルビング方式には定額リボルビング方式と残高スライドリボルビング方式が存在します。
定額リボルビング方式
定額リボルビング方式とは、
利用残高に関わらずクレジットカードごとに定められた一定額を支払っていく方法です。
限度額によって毎月の支払額が決まっていることが一般的で、例えば、限度額50万円のクレジットカードを定額リボ払いにした場合には、毎月10,000円の支払いなどというように定められています。
この金額はクレジットカードによって異なります。
残高スライドリボルビング方式
残高スライドリボルビング方式とは、利用残高に応じて定額支払額が変動する支払方法です。
利用残高が少なければ支払額は少なくなりますし、利用が重なり利用残高が多くなれば支払額は大きくなります。
例えば以下のようになっています。
利用残高 | 10万円未満 | 10~15万円 | 15~20万円 | 20万円以上 |
毎月の支払額 | 5,000円 | 7,500円 | 10,000円 | 残高10万円増えるごと5,000円ずつ増加 |
ランク | ランク1 | ランク2 | ランク3 | ランク4 |
これはあくまでも例で、クレジットカードによってこのランクや支払額は異なりますし、支払プランを選択できるクレジットカードも存在します。
残高スライドリボ払いは、利用残高が思った以上に多くなってしまうと、気づかないうちに毎月に支払額が上昇してしまうことに注意が必要です。
元利型
リボ払いにはローンで言うところの利息である手数料が発生します。
多くのクレジットカードの手数料は利用残高に対して年12~18%程度が相場です。
元利型の場合、この手数料は毎月の支払額の中から差し引かれます。
つまり、手数料率18%で10万円をリボ払い毎月1万円払いで利用した場合の利息と元金返済の内訳は、
手数料=10万円×18%÷365日×30日=1,479円
残高支払分=10,000円-1,479円=8,521円
となります。
このように、毎月支払額の中に手数料支払分と残高支払分の双方が含まれる方法を元利型と言います。
元金型
毎月の支払分と手数料(利息)を別に支払う方法を元金型と言います。
10万円、手数料率18%、毎月1万円でリボ払いを元金型で行った場合には、
1万円はすべて元金の支払いに充当されます。
手数料は別に必要になります。
手数料=10万円×18%÷365日×30日=1,479円ですので、
支払額の合計は10,000円の元金と手数料の合計である11,479円となります。
リボ払いのメリットとデメリット
どれだけ利用しても毎月の支払額が一定、もしくは残高に応じて一定であるリボ払いですが、メリットとデメリットの差は大きいです。
メリット
メリットは何と言っても大きな買い物をしても支払額を最小にできるという点です。
カードローンのように、利用限度額の範囲内であればどれだけ使っても毎月の支払額が一定であるため、月々の支払負担を最小に抑えたうえで大きな買い物ができるというメリットがあります。
デメリット① 手数料
クレジットカードの分割払いには2回払い程度までであれば手数料が発生しないことも珍しくありません。
しかし、リボ払いの場合にはほぼ確実に手数料が発生します。
しかも、手数料率は18%という法定限度率に設定されていることも珍しくありません。
リボ払いの1つ目のデメリットとして手数料率が高利率であるため、一括払いはもちろん、分割払いよりも手数料が大きくなり、支払総額が大きくなってしまうという点を挙げることができます。
デメリット② 金銭感覚のマヒ
カードローンでも同じことが言えますが、リボ払いは限度額の範囲内で毎月一定の支払だけ行えば際限なくお金を使うことができてしまいます。
本来は、毎月3万円しか可処分所得のない人でも、可処分所得の他にリボ払いで毎月2万円の買い物を行っていたら、実際の生活水準よりも毎月2万円も多くの買い物を行うことができてしまいます。
リボ払いのデメリットとして、金銭感覚がマヒすることが多いという点を挙げることができます。
実際に、買い物依存症の人の多くがリボ払いを利用していると言われています。
デメリット③ 利用残高が不透明
先ほども述べたように、元利型リボ払いの支払額の中には手数料分も含まれており、支払額がそのまま利用残高の支払いになるわけではありません。
このため、いくら支払いを行っていっても、支払額合計が利用残高の減少にはつながらないため、実際の利用残高がいくらになっているのかを自分で把握するのが難しくなります。
また、支払いの途中で、リボ払いによって買い物をした場合には、残高はさらに変動するため、利用残高の把握はさらに困難です。
リボ払いを行っている人の中には、自分がいくらクレジットカードを利用しているのかわからずにただ毎月決められた金額を支払っているという人も少なくありません。
デメリット④ いつ完済するのかが不透明
分割払いの場合には、10回分割であれば10回支払いを行えば支払いが終了するということが分かります。
しかし、リボ払いは支払い回数ではなく、支払金額ありきです。
したがって、毎月10,000円の支払いということは把握できても、何回毎月10,000円を支払っていけば利用残高が0円となるのかが非常にわかりにくいです。
また、支払いの途中でふたたびリボ払いによって買い物をした場合には、利用残高はさらに増えてしまうため、いつ完済できるのかということを把握するのはさらに困難になります。
このため、あと何回支払いを行えば完済できるのか、今の利用残高はいくらなのかを把握せずに、ただ支払いを延々と行っている人が少なくないのです。
リボ払いの実例をシミュレーション
リボ払いは毎月支払額が定額だからこそ「いつ支払いが終わるのか」「利用残高はいくらになるのか」「手数料がいくらになるのか」などを適切に把握することが重要です。
無計画でリボ払いによって買い物をしすぎると大変なことになってしまいます。
返済金額の例とその場合の返済総額
クレジットカード会社の中には、そのホームページ上でシミュレーションできるページを用意している場合があります。
例えばJCBですね。
http://www.jcb.co.jp/service/payment/revolving/plan/
JCBは残高スライド型、定額型から支払い方法を選択することができます。
50万円(手数料率15.0%)を残高スライド型で支払いを行った場合の支払いは以下のようになります。
支払い元金(円) | 手数料 (円) |
支払い合計額(円) | 支払い後 残高(円) |
|
1回目 | 50,000 | 5,136 | 55,136 | 450,000 |
2回目 | 50,000 | 5,732 | 55,732 | 400,000 |
3回目 | 40,000 | 5,095 | 45,095 | 360,000 |
4回目 | 40,000 | 4,142 | 44,142 | 320,000 |
5回目 | 40,000 | 4,076 | 44,076 | 280,000 |
6回目 | 30,000 | 3,452 | 33,452 | 250,000 |
7回目 | 30,000 | 3,184 | 33,184 | 220,000 |
8回目 | 30,000 | 2,712 | 32,712 | 190,000 |
9回目 | 20,000 | 2,420 | 22,420 | 170,000 |
10回目 | 20,000 | 2,165 | 22,165 | 150,000 |
11回目 | 20,000 | 1,849 | 21,849 | 130,000 |
12回目 | 20,000 | 1,656 | 21,656 | 110,000 |
13回目 | 20,000 | 1,356 | 21,356 | 90,000 |
14回目 | 10,000 | 1,146 | 11,146 | 80,000 |
15回目 | 10,000 | 1,019 | 11,019 | 70,000 |
16回目 | 10,000 | 805 | 10,805 | 60,000 |
17回目 | 10,000 | 764 | 10,764 | 50,000 |
18回目 | 10,000 | 616 | 10,616 | 40,000 |
19回目 | 10,000 | 509 | 10,509 | 30,000 |
20回目 | 10,000 | 369 | 10,369 | 20,000 |
21回目 | 10,000 | 254 | 10,254 | 10,000 |
22回目 | 10,000 | 127 | 10,127 | 0 |
残高スライド方式ですので、最初は支払い元金が大きいですが、支払いが進むにつれて、支払元金の金額が少なくなっていくことが分かります。手数料額の合計は48,584円となります。
ちなみに、同条件で毎月2万円の定額型元金支払いを選択した場合には以下のようになります。
支払回数:24回 手数料合計80,084円
定額型の場合には最初から最後まで元金の支払いは2万円ですので、元金の減りが遅いことから支払う手数料も多くなり、残高スライド方式の2倍近い手数料が必要になります。
このように、買い物の前に「この買い物を行ったらいくらの手数料が発生するのか」「毎月の支払い額はいくらなのか」などと言ったことを事前にシミュレーションしてから買い物を行わないと、気づいたときには限度額となってしまうという可能性が十二分にありますので注意しましょう。
また、カード会社にシミュレーションがない場合には、カシオのkeisannの【 ローン・リボ払い 】(http://keisan.casio.jp/exec/user/1351517634)で返済回数と返済総額の計算ができますので、どのようなクレジットカードを利用するのであれ、リボ払いの前には必ずシミュレーションを行うことをおすすめします。
毎月1万円返済を5000円返済にすると?
ちなみに、定額返済は毎月の支払金額を少なくすればするほど、元金の減りが遅いため、支払回数が伸びて手数料の総額が大きくなってしまいます。
上記のJCBのクレジットカードを1万円と5,000円返済とした場合のシミュレーションも行ってみましたので参考にしてください。
定額返済額 | 支払回数 | 支払手数料 | 支払総額 |
毎月1万円 | 50回 | 158,292円 | 658,292円 |
毎月5,000円 | 100回 | 314,622円 | 814,622円 |
定額返済額が少なくなればその分支払い回数が伸びるため、
同じ手数料率でも支払手数料がかなり大きく異なることになります。
毎月2万円の定額返済時よりも、毎月5,000円の定額返済時には20万円以上手数料が大きくなってしまいます。
リボ払いの「毎月の支払いが楽」というメリットは、
そのまま「手数料の合計が高くなる」というデメリットとなってしまいます。
やはり、シミュレーションを行い、自分が無理なく支払うことができるのは毎月いくらなのか、手数料はいくらなのかをしっかりと把握することが非常に重要です。
リボ払い以外の返済方法は?
クレジットカードの支払い方法はリボだけではありません。
それぞれの支払い方法について解説します。
リボ払いと分割払いの違い
リボ払いとは、毎月の支払い金額に関して定められたルールに基づいて決められた金額を毎月支払っていく支払い方法です。
金額ありきであるため、「完済までに何回支払えばよいのか」は後から決まりますし、支払いの途中で同じカードでリボ払いにて買い物をした場合には、その分だけ完済までの期間が延びてしまうことになります。
一方、分割払いは支払い回数に基づいて毎月の支払い金額が決定する方法です。
10万円の買い物を10回分割払いとした場合には、毎月元金支払額は10万円÷10回=1万円、5回払いとした場合には10万円÷5回=2万円となります。
このように、回数ありきで毎月支払金額が決定するのが分割払いです。
分割払いは完済までの支払回数が買い物を行った時点で分かっているという点が特徴です。
一括払い、2回払い、ボーナス一括払いの違い
一括払い
一括払いとは利用金額を翌支払い時に一括で支払う方法で、手数料は発生しません。
2回(分割)払い
2回払いとは、利用金額を2回に分けて支払う方法です。10万円の買い物を2回払いとした場合には5万円ずつ2回に分けて支払うことになります。
一般的なクレジットカードにおいては2回払いまでは手数料が発生しません。
なお、手数料は12%~15%程度というクレジットカードが多いですが、分割回数が長ければ長いほど手数料率が上がっていくというクレジットカードも存在します。
ボーナス一括払い
買い物代金をボーナス時に一括で支払うという方法です。
多くの会社のボーナスが6月と12月に出ることから、6月と12月の支払い時もしくは7月と1月の支払いとするクレジットカードが一般的です。
なお、ボーナス払いにも手数料が発生しないクレジットカードが一般的です。
あとからリボ
一括もしくは分割での買い物代金の1部もしくは全部をリボ払いとすることができる方法です。
「今月、クレジットカード代金の全額を支払うのが厳しい」という時に便利な方法です。
しかし、手数料のかからない買い物代金を、手数料を支払ってリボ払いに借り換えるということですので、
当然、リボにした分の手数料を負担することになってしまい、
あとからリボにした後のほうが、あとからリボにする前よりも総額の支払いは多くなってしまうことになります。
申込時にクレジットカードの返済方法を確認しよう
クレジットカードは原則的に何も言わなければ一括払いとなることが一般的ですが、中には最初からリボ払いの設定となっているクレジットカードも存在します。例えばファミマカードは最初からリボ払いの設定となっています。
一括で払えば手数料がかからないものも、リボ払いとしてしまえば手数料が発生してしまいますが、これが気づかないうちにリボ払いとなっているクレジットカードも存在するため注意が必要です。
手持ちのクレジットカードが最初にどのような設定となっているのかの確認を使用前にしっかりと確認することも忘れないようにしましょう。
リボ払いをしている人が、できるだけ損しないで返済するにはどうする?
リボ払いで多額の手数料を負担している人が、今後できる限り手数料を節約するためにはどのようにすればよいのでしょうか?
余っている現金で返済
ボーナス時や、住宅ローン減税還付時など、いつもの収入以外のお金が手に入った時に、リボ払いの残高の一部または全部を繰り上げて支払うということが可能です。
カードローンの臨時返済のようなイメージです。
臨時返済してしまえばリボ払いの残高が減少するため、その分、翌支払時の手数料負担は軽くなります。
ただし、ほとんどのクレジットカードでは、カードローンのように気楽にATMから臨時返済を行うことができるわけではありません。
インターネットや電話で返済の連絡を入れてから指定口座へ振込を行うという方法が一般的です。
金利の低いカードローンに借り換え
手元に現金がない場合には、ローンで借り換えを行うという方法があります。
クレジットカードのリボ払いは15~18%程度の手数料率が一般的ですが、銀行系カードローンであれば14%程度、場合によっては10%を切る金利が適用されるカードローンも存在します。
また、クレジットカードのショッピング枠は審査的にみると借金ではないため、いくらクレジットカードのリボ払い残高が多くなっていてもショッピング枠だけの利用であれば、カードローン審査の際に他債務があるとはみなされず審査に不利となることはほとんどありません。
さらに、クレジットカードの支払いを期日通りに行っていれば「この人は期日を守る人だ」というプラスの判断が加わり、審査はさらに有利になります。
高手数料率のリボ払いに苦しんでいる人はカードローンへの借り換えもおすすめです。
※※※1
支払回数の決まっているフリーローンで借り換え
クレジットカードもカードローンも毎月支払額ありきで支払回数が決まるリボルビング方式で完済までの終わりが見えません。
また、繰り返し利用できるため、いくら返済を行っても、またクレジットカードやカードローンを利用してしまったらいつまでたっても終わりが見えないことになります。
そこで、支払回数が決まっているフリーローンを利用することもおすすめです。
フリーローンは金利がカードローンよりも低い商品が多いのも魅力です。ただし審査は逆にフリーローンのほうが厳しくなるのが普通です。
リボ払いのメリット デメリット まとめ
クレジットカードのリボ払いは毎月決められた金額だけを支払っていけば限度額の範囲内で無限に買い物ができてしまいます。
このため、自分の経済能力を超えた買い物を恒常的に行ってしまうこともしばしばです。
しかし、クレジットカードにはいつか限度額が訪れます。その時に買い物を止められればよいのですが、一度ついてしまった買い物癖はなかなか直るものではなく、別のカードも同じように使ってしまうと、カード破産の入り口になります。
あまりにも簡単にリボ払いを行うことができるため、借金という自覚がない人がほとんどですが、クレジットカードのリボ払いは買い物代金を借りたのか現金を借りたのかの違いだけで実態としてカードローンと同じです。
このため、リボ払いで買い物を行う前には「手数料の金額はいくらか」「何回払いになるのか」といったことを事前にしっかりと把握しましょう。
リボ払いの手数料率は高いため、すでにリボ払いを行っている人は、金利の低いローンでの借換えを検討するのも1つの方法ではないでしょうか?