目次
リボ払いとは?
リボ払い(リボルビング払い)はクレジットカードの支払方法のひとつです。
リボ払いを利用すると、毎月の支払額は「前もって設定された金額」に固定されます。
毎月の支払額が変わらなければ、支出の管理がしやすくなりますよね。しかし毎月の支払額が一定だからと安心してリボ払いで買い物をし続けると、返済期間がどんどん延びて膨大な手数料を負担することになります。
リボ払いを申し込む前に確認したいポイント
・リボ払いとはどんな仕組みなのか
・毎月の支払額(元本返済分と手数料の合計)と返済期間
・自分が申し込むリボ払いの支払い方式
リボ払いの月々の支払額はどのように決まるのか
リボ払いの支払額の決め方はクレジットカード会社によって異なり、大きく分けると2種類あります。
ひとつはカードの利用残高に応じて月々の支払額が増減する「残高スライド方式」。
この支払方法の場合、新しく買い物をして利用残高が増えると残高のランクに応じて月々の支払額が増えていきます
もうひとつは支払い残高に関係なく、毎月一定額を支払う「定額方式」。
利用残高が増えても毎月の支払額は変わらず、そのかわり返済期間が延びていきます。
またどちらの方式の場合も、残高に対して毎月15%ほどのリボ払い手数料がかかります。
支払期間が長ければ長いほど手数料がたくさんかかり、あなたが支払う総額が多くなる仕組みです。
リボ払いを利用する方法
リボ払いを利用する方法は主にこの4つです。
事前登録型リボ
カードの支払方法をリボ払いに登録し、利用したらすべてリボ払いになるようにしておく
リボ専用カード
支払い方法がリボ払いに限定されているカードを使う
店頭選択型リボ
買い物をする時に、店頭で支払い方法をリボ払いに選択する
あとからリボ変更
カードを使って買い物をした後、あとからリボ払いに変更する
リボ払いは使えば使うほど返済期間が延び手数料がかかります。リボ払いの事前登録をしたりリボ専用カードを作ったりする際は、本当に必要かどうかよく考えてからにしましょう。
リボ払いが危険と言われるのはなぜ?
リボ払いが危険だと言われるのは、毎月の支払額が一定に固定されるため、借金をしている意識が薄くなってしまうからです。
残高を確認せずに買い物を続けていると、自分の支払い能力を越えた残高にまで膨れ上がってしまっていることも。
リボ払いは月々の支払額が小さく抑えられる便利なサービスです。
しかし、支払いが終わるまで毎月15%の手数料がかかる「借金」であることに変わりありません。
利用は必要最低限にし、利用したらWeb明細や利用明細書をよく読んで自分の支払い残高と手数料をしっかり確認しましょう。
「リボ払いで買い物をするとポイントがたくさん貰える」というキャンペーンも要注意です。
一括払いより何倍もポイントがもらえてお得!という理由でリボ払いにしてしまうと、結果的にもらったポイント以上の手数料がかかることがあります。
キャンペーンやプレゼントに惑わされず、リボ払いの仕組みと手数料についてよく確認することが大切です。
また、本人がリボ払いをしたつもりがないのに「利用明細書を見てみたらリボ払いになっていた!」ということもあるようです。
その原因は「クレジットカードを作る・使う際の確認不足」です。
例えばファミマTカードは、作った時にはじめから支払い方法がリボ払いに指定されているクレジットカードです。
この点を確認せずにカード使うと、利用分がすべて自動的にリボ払いになってしまうのです。(リボ払いを解除したい場合は会員専用ページから「ずっと全額支払い」に変更しましょう。)
リボ払いの実例をシミュレーション
それでは実際にリボ払いを利用して買い物をしたら場合の「総返済額」や「手数料」を計算してみましょう。
各種クレジットカード会社のサイトにはリボ払いのシミュレーションができるページが用意されていて、リボ払いを利用する前に支払総額を確認することが出来ます。
<例>JCB ショッピング分割払いのシミュレーション
http://www.jcb.co.jp/service/payment/pop/shopping-installments-simulation.html
今回はカシオのkeisanというサイトを使って、「リボ払いを利用して30万円の買い物をした場合」の返済回数と返済総額を計算してみたいと思います。毎月の手数料は一般的な15%で計算しました。
リボ払いで30万円の買い物をして、毎月の支払額を1万円に設定した場合
返済回数 38回(3年2ヶ月)
返済総額 378,348円
うち利息・手数料 78,348円
毎月の支払額を5000円に設定した場合
返済回数 112回(9年4ヶ月)
返済総額 557,976円
うち利息・手数料 257,976円
月々5000円の支払いにした場合、返済が終わった頃には買い物代金の30万円と同じくらいの手数料(257,976円)を支払うことになってしまいました。
また、両方とも買い物をした金額は同じ30万円なのに、毎月の支払額を半分にしただけで返済期間が6年2ヶ月延び、手数料は179,628円も増えてしまいます。
リボ払いを利用したら出来るだけ毎月の支払額を多くして、早めに支払いを終わらせたほうがいいことが分かりますね。
リボ払い以外の支払い方法は?
クレジットカードを使って買い物をする時、リボ払い以外の支払い方法はどんな種類があるのでしょうか。
よく使われる支払い方法はこの5種類です。
一括払い
分割払い
2回払い
ボーナス一括払い
リボ払い
リボ払いと混同しやすいのが「分割払い」です。どちらも「複数回に分けて支払う」という点は共通です。
リボ払いは毎月の支払額はあらかじめ設定した金額に固定されます。返済期間は残高によって延びていきます。
分割払いは利用時に何回払いにするか返済期間を決めるので、返済期間が延びることはありません。
分割払いの手数料は12~15%程度で、リボ払いより少し低めに設定されていることが多いです。支払回数を少なく設定すれば手数料率が低くなる仕組みです。
リボ払いと分割払いのどちらがおすすめかと聞かれたら、分割払いです。
支払いの回数が決まっているため長期返済に苦しむことはありませんし、買い物をすればするほど支払額が上がるので使い過ぎを防げます。
手数料の面を重視すると、一括払い・ボーナス一括払い・2回払いは購入代金以外の手数料がかかりません。
一括払いは、買い物をした代金を翌月に一括して支払う方式です。
ボーナス払いは、買い物代金を次のボーナス時期に一括で支払う方式です。
2回払いは、買い物をした翌月と翌々月の2回に分けて支払いを行います。
手数料や使い過ぎを防げる点から考えると、おすすめの支払い方法は下記の順番です。
一括払い→ボーナス一括払い・2回払い→分割払い→リボ払い
繰り返しになりますが、2回払いまでは手数料がかかりません。むやみに分割払いやリボ払いを利用せず、出来るだけ手数料がかからない方法を選びましょう。
分割払いやリボ払いを利用する時は、出来るだけ短期間のうちに返済できるよう計画を立てたいですね。
リボ払いをしている人が、損をしないで返済する方法は?
すでにリボ払いを利用して返済途中の場合でも、リボ払い手数料を少なく済ませる方法があります。
一番効果的なのは「一括繰り上げ返済」です。
手持ちのお金に余裕ができた時は利用明細書で支払残高を確認し、一括返済できるようならしてしまいましょう。
一括返済が難しくても、少しずつ繰り上げ返済を行っていけば手数料は必ず節約できます。
手持ちのお金に余裕が出来たら、リボ払いの一括返済や繰り上げ返済を行なうことをおすすめします。
リボ払いの繰り上げ返済方法
・ATMから入金する
・クレジット会社に連絡後、銀行振り込みをする
・会員専用サイトから引き落とし金額(支払金額)の変更手続きを行う
3つめの「引き落とし金額の変更」を行う場合は、「次回の引き落とし金額のみ変更」と「次回からの引き落とし金額をすべて変更」の2種類がありますので、手続き時によく確認してください。
他にも、月々の支払額を増やすという方法もあります。
月々の返済額を上げれば、返済期間が短くなりますのでトータルでの手数料が少なく済みます。
3つの項目に分けてリボ払いの支払方式について
元金 元利 定率 定額 残高スライド
クレジットカードの支払方法のひとつである「リボ払い」。
リボ払いは、毎月の支払額を一定額に押さえることができるサービスで、残高に応じた手数料がかかります。
同じリボ払いでも利用するクレジットカードによって支払方式が違うのを知っていますか?
リボ払いの申し込み要件が載っている商品概要説明書を読んでみると、「残高スライド元金定額リボルビング方式」や「元利定率リボルビング方式」など様々な支払方式があることが分かります。
聞きなれない言葉が並んでいてちょっと難しく感じますよね。
下記の3つの項目に分けて考えるとわかりやすくなるので、一緒に確認してみましょう。
・元金or元利
・定率or定額
・残高スライド
元利と元金の違い
元利と元金は、設定されている月々の支払額にリボ払い手数料が含まれているか・別途上乗せかの違いです。
仮に30万円の買い物をして月1万円のリボ払い(手数料15%)を利用した時の、実際の支払額の違いを比べて見ましょう。
元利方式‥支払額の1万円の中にリボ払い手数料も含まれています。1万円からまず手数料分(3750円)を引き、その残り(6250円)を元金の返済に充てます。
実際の支払額 元金返済分6250円+手数料3750円=1万円
元金方式‥支払額の1万円はすべて元金の返済に充てられ、リボ払い手数料は別途かかります。
実際の支払額 元金返済分1万円+手数料3750円=1万3750円
残高が同じなので手数料は元利でも元金でも同じです。
(リボ払いの手数料は残高全体に対してかかるので、返済が進んで借入残高に差が出てくれば手数料額に違いが出てきます。)
元利の場合は、毎月の支払額が1万円で固定されていて支払いの予定を立てやすいですね。
元金の場合は、毎月1万円が確実に元金の返済に充てられるので、元利より返済が早く終わり手数料が少なく済みます。月々の負担額は元利より多くなる計算です。
元利か元金かは、利用するクレジットカードによってはじめから決まっている場合がほとんどです。基本的に利用者が選べるものではありません。
どちらの方式かによって月々の実際の支払額が変わりますので、自分が利用しているカードの方式は確認しておくといいですね。
定額と定率の違い
定額方式は、毎月の最低返済額(ミニマムペイメント)が1万円・5000円というように固定されている方式です。(元金の場合はこの固定額に加えて手数料が上乗せされます。)
<例>固定額が1万円の場合の毎月の支払額
元金定額方式‥1万円+手数料
元利定額方式‥1万(手数料込み)
定額方式の場合は毎月の支払額がほぼ固定されるので、支出の管理がしやすいのが特徴です。
定率方式は、借入残高に対してカード会社が定めた5%や3%などの定率を掛けて毎月の最低返済額が決められる方式です。
<例>定率が5%の場合の毎月の支払額
元金定率方式‥借入残高×5%+手数料
元利定率方式‥借入残高×5%
定率方式の場合、残高が少なくなってからも「残高に定率を掛けた額」の支払いを続けていると永遠に完済できません。
そのため毎月の支払額を計算して端数が出た時や、最低返済額が1000円以下になった時は一律で1000円に切り上げるなどの仕組みが導入されています。
現在は利用者にわかりやすい「定額方式」が主流です。
残高スライド
残高スライドとは、借入残高に応じて段階的に最低返済額や支払定率を上下させる方式です。元利なのか元金なのか・定額なのか定率なのかによってスライドの仕方が違うので、例を挙げて確認してみましょう。
<例>残高スライド元利定額方式の場合‥
借入残高が
10万円以下なら毎月5000円
30万円以下なら毎月1万円
50万円以上なら毎月1万5000円
100万円以上なら毎月2万円
というように月々の最低返済金額が借入残高に応じて自動的にスライドしていきます。(元利なのでそれぞれの支払額に手数料が含まれます。)
借入残高が規定の額に達すると最低返済金額が上がり、返済が進んで残高が規定以下になると下がる仕組みです。
残高スライド元金定額方式の場合は、残高スライドによって決められた最低返済金額に手数料を上乗せした額が実際の支払額です。
<例>残高スライド元利定率方式の場合‥
借入残高が
10万円以下なら7%
50万円以上なら5%
100万円以上なら3%
というように借入残高に応じて段階的に定率が変化します。
ここで疑問に思うのは、なぜ借入残高が増えるほど最低支払額を決める定率が下がっていくのかという点ですよね。この答えは、毎月の支払額を実際に計算してみるとわかります。
借入残高が10万円の時が7%=7000円
50万円の時は5%=2万5000円
100万円の時は3%=3万円
残高が増えるほど定率は減っていますが、毎月の支払額自体は定額方式と同じように段階的に上がるように調整されています。(元利はそれぞれの最低返済額に手数料が含まれます。)
残高スライド元金定率方式の場合は、残高スライドによって決められた定率を掛けた最低返済金額に手数料を上乗せして支払います。
残高スライドをせず最低返済額をずっと同じ額に固定したほうが、利用者にとってはわかりやすいですよね。
しかしどんなに買い物をしても支払額が一定だと金銭感覚が麻痺して、「気づかないうちに借入残高が膨れ上がり返済しきれないような金額になりやすい」というリスクが潜んでいます。
このようなリスクを考えると、借入残高によって支払額が上下する方式は利用者にためにもなると考えられます。
逆に借入残高が少なくなってくると自動的に毎月の支払額が低くなってしまうので、返済が長期化してしまうという見方も出来ます。余裕がある月に繰り上げ返済をしたり毎月の支払額を増額したりして早めに完済できるようにしたいですね。
現在リボ払いの支払方式で最も多く採用されているのは「残高スライド元利定額方式」です。
言葉の意味を1つずつ確認していくと‥
最低返済額は1万円・2万円などの固定額。
固定額の中には元金返済分と手数料が含まれていて、
借入残高によって段階的に最低返済額がスライドする方式。
ということになります。
利用者にとって、一番わかりやすく支払いの管理がしやすい方式と言えます。
しかし元利方式は、支払額の中から元金返済に充てられる額が少なく、借入残高が減ったら残高スライドによって毎月の最低返済額が低くなるため、返済が長期化しやすいというデメリットもあります。
最後に
今回3つの項目に分けてリボ払いの支払方式について確認してきました。
支払方式の違いによって、返済期間や手数料の総額に多少の差が出るのは事実です。
しかし、リボ払いを利用する側が支払方式を自由に選べるクレジットカードは現状ほとんどありません。
リボ払いの返済をお得に終えるためには、支払い方式を気にするよりも繰り上げ返済をしたり毎月の支払額をできるだけ多く設定したりするのが一番効果的です。
自分が使うリボ払いの支払方式を知っておくのは大切ですが、それよりもお金に余裕が出来たら毎月の返済額をできるだけ増やして早めの完済を目指しましょう。
元金定額方式での返済具体例
では例として、元金定額方式での返済具体例を計算してみましょう。
30万円を利息29.2%で借り、毎月1回の10回払いで返済するとします。
この条件を【毎月一定額の元金+1か月分の利息】に当てはめれば良いのです。
1回目の支払いは、3万円+利子となりますね。利子を計算してみます。
30万円×0.292÷365日×30日(※)=7,200円
つまり、3万円+7,200円で3万7,200円を1回目に返金すればよいわけです。
2回目(次の月)の支払額は、どうなるでしょうか?
元金は3万円減っていますので、27万円です。
これをもとに利息を計算してみると
27万円×0.292÷365日×30日(※)=6,480円です。
今度は、3万円+6,480円で3万6,480円を返金することになります。
このようにして、以下10回目まで計算していけばよいのです。
ただ、これは元金定額方式であることをお忘れなく。
会社によって返済方式の設定は異なりますので、調べてみて下さい。
(注)計算しやすくするために、1ヶ月を30日ということで統一しています。