返済ができなくて苦しい
日本人には、資金繰りについて独特の感覚があります。そして、それが近年の借入れの返済が滞る現象の原因の1つとされています。多くの場合、私たちはお金に対する蔑視と、それを他人から借入れなければならない状況について羞恥を感じるのです。
そのため、例えばどこかの金融機関から融資を受け、その返済が滞りはじめると、別の金融機関から借入れを行い、最終的には多重債務状態になってしまうのです。
特に最近多いのは、比較的審査に受かりやすいとされる消費者金融からの借入れを重ねる人が多くいます。
消費者金融は確かに、比較的借りやすい傾向にあると一般には言われてはいるのですが、反対に利息は高くなります。
そのため、当初の借入れの予定が狂ってしまうと、どうしても返済が難しくなってしまう傾向にあります。
いずれにしても、多重債務状態になってしまっては、返済は困難です。こうなってしまう前に手を打てれば良いのですが、そうはならなかった場合は何らかの形で債務整理を行うと良いでしょう。
債務整理には、任意整理や民事再生などがあるのですが、借入れの状況によっては、それらを行っても返済が難しい場合もあります。
そんな時には、自己破産を検討することになります。
自己破産は、言葉のイメージからネガティブな印象を受けがちです。しかし、これは法的に認められた手続きを踏んで、自分の人生をやりなおすための手段です。
また、自己破産をしたという事実が世間に公表されることは絶対に無いので、何も恐れることは無いのです。
自己破産のメリット
自己破産を行う最大のメリットは、何と言ってもこれまでの借入れがすべて清算されることです。
実際、借入れをして返済を続けていても、ほとんどの場合利息を支払うことであっぷあっぷになってしまいます。
こうした状況が続くと、返済が完了することはほとんど無いばかりか、利息の返済をやっている間に借入れを加算することになってしまい、金額がどんどんふくらんでいく結果となってしまいます。
世間のイメージでは、自己破産をしてしまうと、まともな社会生活ができないと考えてしまいがちです。しかし、通常自己破産をしても、離婚しなければならないとか、会社を辞めなければならないといったことはまったくありません。
自己破産のメリットは、専門家に相談をした時点から受けることができます。まず、これまで様々なところからやってきた督促がまったく来なくなります。
これまで、返済のためにあちらこちらを走り回ったり、督促によって精神的に追い詰められたりといったことがあったでしょうが、それから解放されるのです。
体力的にも精神的にも、これはとてもありがたいことでしょう。
さらに、新生を行えば、どのような金融機関からの取り立ても禁止となります。ですので、高圧的な態度での取り立て(これ自体が違法ですが)に怯える日々からも解放されるのです。
実際に申請が認められると、返済そのものが免除されます。さらに、既に支払い済の返済金についても、法廷利息を越えた部分については返還を要求することもできるのです。
自己破産のデメリット
自らの借金のすべてが免除され、ケースによっては過払い金の返還も要求できる自己破産。しかし、当然ながらメリットだけがあるわけではありません。
本来負うべき責任を法的な手続きでとはいえ放棄するわけですから、それなりの代償があるということです。
自己破産における、もっとも有名なデメリットと言えば、いわゆるブラックリストへの掲載です。
正式に自己破産が認められると、その情報は官報と呼ばれる書類に掲載されます。これは、世間には公表されませんが、金融機関などの一部の機関には公開されます。
官報に名前が掲載されている期間は5年間で、その間はクレジットカードなどの作成ができなくなります。
また、この期間を越えて、官報から情報が削除された場合でも、金融機関によってはクレジットカードもキャッシングもできなくなる場合があります。
特に、自己破産をする前に取引のあった金融機関からの借入れは不可能と見て良いでしょう。
さらに、クレジットカードを作れないのはあなた自身だけではありません。同居している家族も同様です。
これは、公共料金などをクレジット払いで支払っている場合は大変不便になります。
自己破産時点で持っている、20万円以上の財産はすべて没収されます。例えばマイカーなどの場合ですと差定額によっては没収されますし、マイホームの場合は言うに及びません。
弁護士や公認会計士といった職業や、会社役員にも一定期間ではありますがつくことができなくなります。